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Q3. 結核の検査はどのように行われるのでしょうか?
A3. 結核の検査は(1)結核菌の感染を判定する検査、(2)病巣の存在を確認する検査(画像検査)、(3)結核菌を検出する検査(細菌検査)の3つに分かれます。

●結核菌の感染を判定する検査

 この検査には(1)クォンティフェロン検査(QFT)と(2)ツベルクリン反応の2つがあります。

1. クォンティフェロン検査(QFT)

 結核菌が持っている特殊な蛋白質を利用して、採血した血液中のリンパ球を刺激し、反応の有無を見る検査です。反応があれば陽性で、結核菌に感染していることがわかります。この検査はBCG接種を行っていても施行可能であり、また通常の抗酸菌には反応せずにM.tuberculosisに特異的に反応することが特徴的です。

2. ツベルクリン反応

 結核菌がつくる蛋白質成分を皮膚に注射し、48時間後の皮膚反応を見る検査です。結核菌に感染していると、注射した皮膚の部分の発赤が大きく、硬くなることで感染の有無を判定します。

●病巣の存在を確認する検査(画像検査)

 主に肺結核の検査として胸部X線検査と胸部CT検査があります。胸部X線検査は定期健診の際も行われていますが、結核患者が発生した際は接触者全員に施行されます。また、集団感染が疑われる場合は6か月後、1年後に検査が行われます。図5に肺結核の胸部X線写真を示します。右肺鎖骨部分に淡い陰影(矢印)が見られます。図6に胸部CT写真を示します。黒く空洞化している部分(矢印)が結核病巣です。これらの所見があれば、結核の診断は容易につきます。

図5 結核の胸部X線写真[写真提供:(公財)結核研究会結核研究所 御手洗聡先生]
図5 結核の胸部X線写真
[写真提供:(公財)結核研究会結核研究所 御手洗聡先生]
図6 結核の胸部CT写真[写真提供:(公財)結核研究会結核研究所 御手洗聡先生]
図6 結核の胸部CT写真
[写真提供:(公財)結核研究会結核研究所 御手洗聡先生]

●結核菌を検出する検査(細菌検査)

 結核菌検出のための検査法は大きく分けて、(1)塗抹検査、(2)培養検査、(3)遺伝子検査があります。いずれの検査も検査試料として用いる検体は主に喀痰です。細菌検査の流れと各検査法のメリット・デメリットを図7に示します。

図7 細菌検査の流れと各検査法のメリット・デメリット
図7 細菌検査の流れと各検査法のメリット・デメリット

1. 塗抹検査

 塗抹検査には直接塗抹法と集菌塗抹法があります。直接塗抹法は採取した検体(喀痰)の一部を直接スライドグラス上に塗抹・染色して標本を作製し、顕微鏡で結核菌の有無を調べる検査です。直接塗抹法では汚染物を含めて喀痰のすべてを見るため、抗酸菌が検出されない場合もあります。一方、集菌塗抹法は前処理として喀痰を溶解・均一化し、汚染物を除去して、抗酸菌のみを集めて種々の染色を施し、顕微鏡で抗酸菌の有無を見る検査です。塗抹検査は迅速に結果がわかる点で便利ですが、検出には喀痰1 mL中に菌が5,000〜10,000個以上必要で、抗酸菌全般が染色されるため、結核菌と非結核菌の区別ができないこと、また薬剤感受性検査には供用できないなどの欠点があります。ただ、排菌量の把握や治療経過の評価、退院時期の判断など、患者管理上、必要不可欠な検査です。

2. 培養検査

図8 NALC-NaOH法による喀痰の前処理法
図8 NALC-NaOH法による喀痰の前処理法

 培養検査は集菌塗抹法と同じく検体(喀痰)を前処理して、抗酸菌のみを選択的に培養する検査です。喀痰の前処理法(NALC-NaOH法)を図8に示します。

前処理にかかる時間は早くて1時間、遅くても2時間以内です。このようにして得られた抗酸菌を種々の培地に接種して、抗酸菌の有無を調べます。培養検査は塗抹検査に比べて菌量が少なくてすみ(10〜数百個/mL)、検出感度も高く、分離菌を用いて菌種の鑑別・同定や薬剤感受性検査などを行うことができるという利点を有していますが、結核菌は発育が遅いため、結果が出るまでに数週から2か月近く要する点が欠点といえます。小川培地による抗酸菌の同定結果を図9に示します。

図9 培養検査[写真提供:(公財)結核研究会結核研究所 御手洗聡先生]
a:小川培地(結核菌)、b:小川培地(非結核性抗酸菌;M.avium)
図9 培養検査[写真提供:(公財)結核研究会結核研究所 御手洗聡先生]
a:小川培地(結核菌)、b:小川培地(非結核性抗酸菌;M.avium)

3. 遺伝子検査

 遺伝子検査は検体(喀痰)を前処理して結核菌のDNA(遺伝子)を抽出し、それを増幅して結核菌の有無を調べる検査です。培養検査に比べて短時間で結果が出せ、また抗酸菌の種類までわかる点が大きなメリットです。現在、遺伝子検査としてはPCR法が用いられていますが、新たな技術(LAMP法など)も登場してきています。

●発展途上国における結核の検査支援

 先にも述べたように、発展途上国では多くの結核罹患者が見られますが、いまだ医療設備が整っておらず、検査も決して十分とはいえません。そこで、発展途上国向けに革新的で新しい検査法を開発する目的で、非営利目的の基金FIND(Foundation for Innovative New Diagnostics)System Platformが設立されました。また、WHO(世界保健機関)は2000年に世界の結核制圧を主目的に“Stop TB Partnership”を提唱し、ビル & メリンダゲイツ財団をはじめ、世界の多くの企業や団体が参加しています。

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